昭和の紙幣

古銭というと貨幣のイメージが強いですが、もちろん紙幣もあります。紙幣は硬貨に比べて状態が劣化しやすく、保存も難しいというデメリットもあり、また硬貨に比べて美術的な魅力に欠ける部分があるため、あまり話題になることもないような印象があります。

日本の紙幣は基本的には明治以降のものです。これは紙幣は硬貨と違い、材料が単なる「紙」であるため、流通するためには発行する側の信用がより重要視されるからです。そのためか、紙幣の数や種類は昭和以降になると増えてきます。

紙幣の面白さは図案と額面に尽きると思います。図案は当時の価値観が非常に強く出ているように思えます。聖徳太子が非常に多く起用されていたのを記憶している方も多いことでしょう。昭和も戦前は天皇家の隆盛に貢献した歴史上の人物などが起用されることが多かったようです(和気清麻呂、楠木正成、菅原道真、藤原鎌足など)。現在流通している五千円札の樋口一葉なども女性進出の時代を反映しているといえるでしょう。

また、額面は当時の物価の基準を教えてくれます。5円や10円の紙幣は、当時これらの金額が高額であったことを教えてくれます。板垣退助の500円札をご記憶の方も多いでしょう。図案も額面も昭和の時代の流れをまざまざと教えてくれる格好の材料となります。

また、紙幣というともっとも新しいものだけが使用できるというイメージも沸きがちですが、現在製造されていない紙幣でもまだ使用できるものは多いのです。以前の夏目漱石や新渡戸稲造はもちろんのこと、昭和の紙幣、古いものになるとなんと戦前の武内宿禰の一円札なども使用できるそうです。

また、かつて紙幣に頻繁に利用された聖徳太子の肖像。現在ではあれは聖徳太子を描いたものではないという説が有力になっています。なのでこの肖像が今後、紙幣に登場することはないでしょう。


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